テスト開始日

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――桐生翔平(きりゅうしょうへい)―― 現代の日本の教育では、 すこし変わったテストがある。 1年おきに実施される、高校生の実戦に向けた国家公認テスト。 全ての高校が強制参加で行われ、 実弾や特殊科学の力で殺し合うという。 この教育方針は15年前から実施しており、 そのせいで人口の少子化は進んだ…か。 「いよいよ他人ごとじゃなくなってきたよな」 今は、 全校集会中。 俺達三年生にとっては最後の集会になるのか。 この集会が終わったら、 “予選”が始まる。 緊張どころの空気じゃないよな…。 みんな顔が強張って、 今にも泣き出しそうな顔だ。 「私は君達の力を信じて“予選”を開始しようと思う。 30分後には開始のチャイムが鳴るから、 その前に“アメ”を自分の担任から貰っておくこと。 以上!」 校長の話が終わったか、 始まるな。 俺は“超能力のアメ”を担任から貰い、 この体育館から飛び出た。 “予選”が始まった…からと言ってすぐには生徒は殺し合わない。 もちろん、 多少の訓練を積んでいても戸惑いという物は出てしまうからだ。 だから本格的に始まる前に自分だけの独壇場、 自分にとって有利になる位置を掴む必要がある。 って本に書いてあったなー。 さぁて、 どこに隠れようか…。 む!? むむ!? 古来からあることわざの一つにこんなのがあったな…。 灯台下暗し! よし、 なら急がば善だぜ! 誰もいない階段を駆け上がった。
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