テスト開始日

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「待ってたぞコラ」 やっぱり罠っ!! その瞬間、 ハンマーが振り下ろされようとしていた…。 トイレのドアを開けた位置に存在している俺には、 もちろん、 避ける余裕なんてのはなかった…。 ここで、 おしまいなのか。 ゆっくり目を瞑る…。 『ズガンッ!!』 ハンマーの打撃音。 きっと、 俺はハンマーによって頭蓋骨が割れて脳みそが飛び出して…。 あれ? 痛くないな。 神経が麻痺してるのかな? 現実を見つめるために目を開く。 俺を殺した男は、 目を見開いて睨むようにこっちを見ている。 血がない…。 思わずハンマーが当たったであろう頭を手で探っていた。 そこには、 怪我がなかった…。 男の腕を辿ってハンマーを見るとハンマーはトイレの上部のドアにぶつかり、 振り下ろされていなかった。 恐らく、 男も冷静ではなかったのだろう。 ハンマーを高い位置から下ろした事でドアに突っかかるなんて普段ではありえないからだ。 男との距離は50cmもない。 俺は男の体に突っ込んだ。 チャンスは今しかない!! ハンマーを振り上げるのは時間が足らないはず! 俺は男に馬乗りの体制になった。 俺は男の首を絞めた…。 気付いたら男は死んでいた。 目は上を向いて、 酸欠からか顔はタコの様に赤くなっていた。 「こ、殺した」 そう、 殺した。 この手で。 「素手ですか、初めてにしては上出来じゃないですか」 !!!!!! トイレの入り口から聞こえた声は俺に絶望感を与えた。 いや、 声だけで充分だった…。
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