テスト開始日

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トイレには、 制服を真っ赤な血で染めた“最強”が立っていた。 全国共通模擬殺戮テスト。 高校生徒全員が受けたこのテストで俺の順位は23568位。 そしてこのテストのランキングは、 1位 名無 太郎   「ななし たろう」 2位 ????   「????」 3位 神代 神染   「じんだい かみそめ」 まぁ、 こっから下はいくらでもいるんだが…。 殺戮テストは限りなく国家センター試験に似せて作ってある。 そして、 この男はランキング1位の名無太郎。 文字通りの“最強”。 まず、 23568位の俺がかなうわけない相手…。 名無にだけは会いたくなかった…。 今度は、 本格的に死んだか? 名無は武器を持ってない…。 それに比べ俺は、 さっき殺そうとしてきた男のハンマーがある。 状況的には俺が優勢。 「なぁ…名無見逃してくれないか?」 力無く呟いたこの言葉には覇気がなく、 自分が有利で武器を持っているから見逃してやるよ。 とか、 甘ったれたアホな考えじゃなくて、 俺が例え武器を持っていても名無には勝てないという事をさしていた…。 「そうですか…なんか、そういうの凄くムカつきますね。」 スッ…っと名無はゆっくり俺に手のひらを見せる様に突き出した。 『ブォォ!!』 熱っ! なっ!? 火炎弾!? 俺の目の前には直径2m程ある火炎が現れた! ハンマーを投げ捨てて、 とっさに火炎弾の軌道を避けるように飛び前転という緊急回避をした。 さっきまで俺が立っていた所は黒く燃え上がっている。 ハンマーの無い状態で、 出入り口には名無が立っている。 逃げる…のは難しい。 かと言って、 倒す…のは絶対に無理だ。 絶体絶命って事かよ…。
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