「もう13年も前になんのか…。」

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2022年。 神戸市中央区。 薄暗い高架下を抜けると がやがやうるさい定食屋が目についた。 「あいかわらず つぶれそうだな、この店……。」 美食亭… とてつもないほどの うさんくささを放つのれんをくぐると、まあ中途半端な年齢層のグループが一斉にこっちを見た。 「ぶぶー か、変わってねぇーな!!」 イモのような顔をした 小太りが笑いながら言った。 「あいかわらず背低っ!!」 こっちは鳥顔。 成金のような格好をしている。 「遅くなってすいませんね。」 と嫌味ったらしく答えた、無精ヒゲ面の男。青年期にはさぞモテただろうと思わせる、甘いマスクがヒゲと合っていない。 外川ヨシキ。 男の作業着についている 名札に殴り書きで書かれている。 席につくなり 「お前らも変わんねーな。」 と言い、安そうなタバコをくわえて火をつけた。 「お前まだ タバコ吸ってんのか?」 と小太りイモが問う。 この男は小戸ショウゴ。 「うっせーよ。 っというか君誰だっけ?」 明らかに知っているように笑いながら、外川は鳥顔成金に話しかけた。 「お前が誰だよ!!」 鳥顔は怒り顔で返した。 だが、これが彼らのノリというヤツなのだろう。 「アハハハ!!」 みんなの笑い声が響く。 この鳥顔は比念ユーイチ。 「同窓会に遅れてくるやつがあるかよ!幹事の俺が叩かれるんだぞ!」 と比念。 「つぶれそうで見えなかったんだ、この店もこの店の未来も。」 負けじと外川が言う。 「ちょっと、お前の頭がつぶれそうだろ。」 キッチンから声がする。
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