「もう13年も前になんのか…。」

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13年前… 神戸市中央区。 ヤクザのような男数名に一人の少年が囲まれている。 「比念のボーズ… お前金持って来いって。 なぁ。何回言ったらわかんだよ。あぁ!!」 「う、うるせー!!金なら無えって言ってんだろ!!」 比念ユーイチ16歳。 Tシャツ一枚にジーンズと言ったオーソドックスな服装をしている。 「あんまナメてっとなぁ…」 ヤクザ風の男はバットを振りかざした。 「ぐっ」 比念は反射的に身を守ろうとしてしゃがみこんだ。 そのとき、バットをふり上げていた男が白目を剥いて倒れ込んだ。 「だ、誰だ!!」 周りのヤクザ男たちが叫ぶ。 塀の上に石を手にした少年が立っていた。 その少年は髪をかきあげながら、 「おっさんがよってたかってガキいじめですか。 えれぇご時世になったもんだよねぇ。」 と言ったとたんに上に飛び上がった。 空中で舞いながら石を7、8方向に向けて投げた。 バサ、バサッと音をたて、ヤクザ男たちが倒れた。 「アイアーム・ウィナー!!」 少年がさけぶ。 比念は唖然としている。 状況を把握した比念は少年に言った。 「あ、ありがとうございます!!」 少年は比念を睨み付け、ふらふらになりながら言う。 「なぁ、食いもん持ってねぇ?」 「ドリア大盛りチキンセット、おまたせしましたー」 フリフリのスカートをはいたウェイトレスが料理を運んできた。 「うひょー!食いもんだー!」 「あのーもうそろそろお金ないんですけ…」 「店員さん、これの大盛り2つー。」 「って聞けー!なに無視してんの!もうお金無いよ! わかってんの!?」 比念が言った。 「うるせーな。母君に食事のマナーを教わらなかったのかい?チキンぼうや。」 「誰が鳥顔だ!助けてもらったのはいいんスけどね、限度ってもんが…」
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