彼と私の関係

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顔を上げると、ふわふわのウエーブヘアを揺らして、担任の峰岸(ミネキシ)先生が笑顔で立っていた。 「無理です~、決まらない…。」 「峰ちゃん、凛々は優柔不断なんだから一日で決まるわけないじゃん。」 なおもメールを打ちながら、あはは、と豪快に笑って峰岸先生を見上げる恵那。 …どっちが教師だか分からない話し方だ、相変わらず。 当の峰岸先生は気にする様子もなく、ふふふっ、と小さく笑った。 「そうね。本当は今日中に出してもらいたいとこだけど…。 特別に、明日の朝のホームルームまで待ってあげるわ」 そう口に人差し指を当てて首を傾ける仕草は、同じ女でも可愛いと思ってしまう。 「すみません…。じゃあ、明日までに決めて来ます」 ぺこ、と、小さく頭を下げると、「了解」と短く返事をして、峰岸先生は席を後にした。 極上の微笑みと、ふんわり甘い香りを残して。 みんなから『峰ちゃん』の愛称で呼ばれている峰岸先生は、新任の国語教師だ。 背はすらりと高いんだけど、可憐という言葉がぴったりの可愛らしい顔立ち。 若くてノリもいいし、何より優しい雰囲気が、私達からするとお姉さん的な感じで話しやすい。 「憧れるよね~、あんな大人な女性」 「まぁ、男からしたら高嶺の花なんだろうけど。 …それよりさ、今日の放課後付き合わない?」
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