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美鈴が今まで私を訪ねてくるなんて、一度だってなかったのに。
…なにか、あったのかな?
幼馴染みのイレギュラーな行動に首を傾げる。
そして彼女を思い浮かべると同時に頭に過ったのは、昨日のこと。
中庭で誰かと話した後に、泣くように走り去っていく美鈴の姿だった。
…一体、誰と何を話していたんだろう。
今日は日本文学の授業があるから、聞いてみようかな。
頬杖をついて、中庭の噴水を眺めた。
――この時はまだ、高雄と向上先生が顔を合わせる木曜日の憂鬱が私の頭を占めていて。
…美鈴の微かな変化を、見過ごしていたんだ。
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