彼と私の関係

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「洋介さんのこと、気に入った?」 耳元で、恵那が囁く。 「は?そ、そんなんじゃないよ!」 なんでそんな風に取られるのか不思議に思いながら、慌てて否定した時、 私の携帯が鳴り出した。 ディスプレイには『高雄』の文字。 なんだろう、と思いながらも、みんなに断りを入れて電話に出る。 「もしもし?」 『お嬢、今まだ学校?』 「ううん。恵那とお茶してる。学校の近くだけど。 どうしたの?」 『いや、清流学園に用事あるから、ついでに乗せて帰ろうと思って。 まあ、話があるから1時間くらいかかるけど…待てる?』 「1時間待つのかぁ…」 実のところ、もうすぐ切り上げて帰ろうと思ってたんだけどな。 今の時間はバスは混むし、乗せて帰って貰えば楽なんだけど…1時間は長いなぁ…。 うーーん、と、一瞬にして色んな考えを巡らせていると、電話の内容を察してか、藤沢くんが口を開く。 「あ、凛々ちゃん帰りのこと? 俺、車で送るよ。そのつもりだったし」 「え、でも…」 『お嬢』 ピン、と、声のトーンを変えた高雄の呼び掛けに、慌てて電話に戻る。 「は、はい。」 『望月さんと二人じゃないの?』 望月さん、とは恵那のこと。 …どうやら藤沢くんの声が大きくて、高雄にまで聞こえてたらしい。 「うん、前に遊んだことがある男の子も一緒で…」 『どこ?』 「え?あ、バス停の横のgardenていう店…」 『10分』 「は?」 『10分で迎えに行くから。 絶っっ対に、そこ動くなよ』 「えっ…ちょっと待っ…」 プーップーッ…… …切れてるし。 えーっと、10分? 1時間待つのはどうなったんだ? 携帯を持ったまま、悶々と頭を整理する私に、恵那が恐る恐る話しかける。 「り、凛々?…大丈夫?」
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