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そのまま高雄に離れまで運ばれて、着いたリビングのソファーにボスンと落とされた。
「…高雄、…なんで、洋介さんの部屋にいるって分かったの…?」
「……」
………う。
ギロリ、と、ものすごくキツい目で睨まれて、萎縮してしまう。
こ、怖い……。
「……帰ったら、部屋にいないし。
本家の客間も覗いてみてもいなかったから。
……まさかと思ったけど、本当に辰巳の部屋にいたとはね」
「……」
ソファーの前で仁王立ちして、限りなく冷たい声で言う高雄に、思わず正座をして背中を丸めた。
「この前、…辰巳をここに入れたとき、俺、言ったはずだけど?」
「…いや、…まさか、寝ちゃうと思わなくて…。
ていうか、そんなつもりで部屋に行ったわけじゃ…」
「お嬢が自分から行ったんだな?」
「…ご、ごめんなさい…」
「……。なんで?」
しゅん、と小さくなる私に、高雄は盛大なため息をつく。
そして、膝を曲げて屈んで、俯く私に目線を合わせた。
「なんで、辰巳の部屋で泊まることになったの」
「……」
「辰巳には言えて俺には言えない相談事って、なに」
「……それは……」
美鈴のことは、関係のない洋介さんだから言えたことで。
だけど相当怒ってる高雄を目の前にして、どうしようかと揺らぎながらも黙ってしまうと、高雄は自分を落ち着けるように、ふーっと息を吐いた。
「…辰巳に話しを聞いてほしくて、部屋に行ったの?」
「それは、違う…。
本家に行ったら、たまたま、洋介さんの部屋からピアノの音が聞こえて…。
それで、話をしてるうちに、なんとなく…」
「じゃあ、目的もなくフラフラと男の部屋に入ったわけだ」
「……」
その言い方に、む、と口を尖らせた。
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