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「そりゃあ、高雄に心配させた私が悪いよ?
けど、そんな言い方しなくたって……」
「そういうことなんだよ。
前も言ったけど、お嬢は男に対して警戒心が無さすぎる」
「お、オオカミ男かどうかくらい、分かるもんっ!
洋介さんは――」
そんな人じゃない、と言おうした瞬間、
――ドン!と、肩に強い衝撃を受けた。
その勢いで背中から倒れてしまった私は、一瞬、何が起きたか分からなかった。
…高雄が、私を突き飛ばしたのだと。
そう理解したのは、彼が私を上から見下ろしたときだった。
「……たかお……?」
「洋介さんはそんなことしない、とでも言うつもり?」
「…なに、して…」
シュル……、と。
高雄は緩めていたネクタイをほどいて、あろうことか、ソファーに仰向けになっている私に、覆い被さる。
蛍光灯の光が、高雄の身体で遮断された。
「男はみんなオオカミだって、しっかり教えてきたつもりなんだけどね」
「…高雄、…どいて…」
「お嬢は、男をナメすぎなんだよ」
「やっ、…やだ、怖いっ…」
高雄の身体が、私の脚を割るようにして入ってくる。
起き上がろうと抵抗するも、ぐっと強く肩を押し付けられて、その重たい痛みと恐怖で混乱する。
「…やめっ…、っ!!」
思わず声を張り上げようとした私の口を、高雄の手が塞いだ。
高雄は私の首筋に顔を埋め、そこに舌を這わせてくる。
息苦しさと、知らない感覚が身体を支配する恐怖とで、私はビクン、と跳ねた。
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