3613人が本棚に入れています
本棚に追加
男の人の身体が、こんなに固くて重いなんて、知らなかった。
足をバタバタさせたり、手をグーにして高雄の胸を叩いたりしても、相手は全然動じない。
こわい……、こわいっ…!
高雄に対して初めて芽生えた感情だった。
声を出せないから、やめてとか、ごめんなさいすら、言えない。
「……っ!?」
高雄の舌が、首筋から鎖骨に流れる。
着ていたパーカーのファスナーを下ろされて、ほとんど下着に近いキャミソールの裾から、冷たい手が侵入した。
直接肌を撫でられて、身体がビクンと動く。
「…んっ、んーっ!」
そのまま高雄は背中に手を回し、ブラのホックを外そうとした、瞬間。
頭を振る私の目から、ポロ、と、涙が零れた。
「……泣いたら、やめてくれると思う?」
ひどく冷酷な声が下から聞こえてきて、私は少し、頭を上げる。
口を覆っていた高雄の手が、するりとほどかれた。
「泣いてやめてって懇願して、…やめてくれる男ばかりじゃないんだよ」
「……た、たか……」
ようやく出せた声は、震えている。
ボロボロと泣く私を、高雄は腕を引いて起き上がらせた。
「今みたいに口を抑えられたら、大声を出すことも出来ない。
力では到底、敵わないしね」
そして肩からずり下がったパーカーを直し、ファスナーをゆっくり上げていく。
.
最初のコメントを投稿しよう!