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「…え?今日も来てないんですか?」
月曜日。
美鈴の様子が気になって彼女のクラスに向かったところ、ちょうど教室から出てきた担任から、美鈴が来ていないことを知らされた。
「皆勤賞並みの綾部が、こんなに休むなんてな。
なんでも、風邪をこじらせたらしいが」
中年の男担任が、やれやれと言った様子で言った。
「…連絡があったんですか?」
「そりゃそうだろう。
清流学園の生徒が無断欠席なんてしたら大騒ぎだからな」
「それって、家族の誰かから…?」
「いや。
欠席の連絡は、金曜も今日も、綾部本人からだったぞ」
「…美鈴が?」
「ああ。 普通は親からあるもんだが…。
もういいか? そろそろ職員室に戻るけど」
「あ、すみません。
ありがとうございました」
ペコ、と頭を下げて、私はその場を後にした。
……風邪、か。
欠席の理由が、何故かしっくり来ない。
あの歯形を見てしまったからかも知れないけど、…なんだか嫌な予感が頭から離れない。
「……」
足を止め、ポケットから携帯を取り出す。
不在着信もメール受信もない画面を見て、ため息をついた。
…何度も美鈴に電話やメールをしているものの、
彼女からの返事は、返ってこない。
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