彼と私の関係

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結局、車で30分待たされてから家に帰った。 「付き合わせて悪かったね」 助手席のドアを開ける高雄が、全く悪びれた様子もなく言う。 「ホントだよ。 藤沢くんに送ってもらえば良かった」 「…藤沢、ね。覚えとく」 ……なに、その恐い笑顔…。 「あ…、おじいちゃん、だ」 本家から聞こえる音色。 柔らかくて優しい、独特な情緒のある、おじいちゃんの琴。 明日は久しぶりに、おじいちゃんに稽古をつけてもらえる日だ。 明日……。 「ああ…選択授業、決めなきゃ」 一気に現実に戻された気がした。
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