その恋の行方

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美鈴が学園を休むようになって、1週間が経った。 相変わらず、携帯の電源は切られたまま。 だけど美鈴が休んでいることに学園側が何も言わないということは、欠席の連絡は欠かしていないんだろう。 だけど流石に、風邪を理由にして休むには限界なんじゃないかな…、と、思っていたとき。 恵那が、彼女にしては珍しく、神妙な顔をして話を切り出してきた。 「ね、凛々。 …あの、美鈴ちゃん、て子の話なんだけど…」 「…うん。 どうしたの?」 「まだ休んでるんだよね? あれから、また家に行ったりしてないの?」 「……うん。 私が下手にうろついたりして、美鈴の家族に嘘がバレたら、とか考えちゃって……」 「…そっか。 まあ、そうだよね…」 恵那には、美鈴の家を訪ねたあの雨の日のことを話していた。 と言っても、美鈴が悲しい恋をしているかも知れない、ということを相談したくらいだけど。 …あの首の恐ろしい跡のことは、とてもじゃないけど、言えない。 「…珍しいね、恵那がそんなこと聞いてくるなんて。 どうかしたの?」 「…ああ、うん…」 「……恵那?」 「……」 歯切れの悪い恵那に首を傾げていると、恵那は意を決したように顔を上げた。 「…気を悪くしないで欲しいんだけど…」 「? …うん」 「……美鈴ちゃんの悪い噂を、聞いたんだよね」 「……噂?」 「……うん。 学校サボって、…援助交際まがいのことをしてるって…」 「……」 私は、思わずあからさまなため息をついた。 「……その噂なら、知ってる…」
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