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退屈なお嬢さまたちは、噂をするのが大好きで。
真面目で、外見的にも目立つ美鈴が1週間も休んでいると、学園側が何も言わないでも、生徒たちの間では面白おかしく話を作ってみたりするものだ。
「大体、飛躍しすぎなんだよね。
援助交際って」
呆れた顔を隠しもせずにふてくされると、恵那がぽつりと呟いた。
「でも、火のないところに煙は立たないもんよ」
「え?」
「私だって、そんな突拍子のない噂にいちいち食い付いたりしないわよ。
ただ、ちょっと詳しく聞いてみたら、…火種が見えちゃって…」
「…どういうこと?」
私が身を乗り出すと、恵那は、難しい顔をして、
「…私、実際見たわけじゃないんだけどね」
と、一呼吸おいて、話し出した。
「インターネットの、いかがわしい掲示板に。
美鈴ちゃんの書き込みがあったみたいなの。 …顔写真付きで」
「……は?」
「どうもすぐに削除されたみたいで、今はもうないらしいんだけど。
どういう経緯か、それを見た人が、その噂の元凶なんじゃないかって…」
「ち、ちょっとまって…!
…書き込みって、何て書いてあったの……!?」
「………」
恵那が、ちらっと、窺うように私を見る。
そして、バツが悪そうに髪を耳にかけて、――目を、伏せた。
「『私の処女、もらってください。 お金は、いくらでもいいです』」
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