その恋の行方

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ホームルームが終わり、職員室に向かう途中、誰かが私の肩をポンと叩いた。 「いーくったさんっ」 「……」 「あれ、無視? 凛々ちゃんじゃなく、ちゃんと生田さんて呼んでるのに」 「……」 相変わらずの軽いノリで立っていたのは、向上先生だった。 …振り返らなきゃ良かった。 …そういえば。 今日は木曜日だったっけ。 わざとらしくため息をついてそのまま歩き始めると、向上先生は気にする様子もなく、のんびりと私についてくる。 「そんな警戒しなくても、こんな人目のある校内で襲わないよ」 「発言だけでもセクハラって成立すること、知ってます?」 「おお怖。 ちゃんと加賀先生とも上手くやってんだから、そんな邪険にしないでよ」 「……」 ぴた、と足を止め、斜め後ろを睨む。 そうだった。 先週、廊下で向上先生と高雄が二人で話してたことを思い出した。 私が口を開く前に、向上先生は、 「…加賀先生から、パーティーで会いましたね、って、声をかけられただけだよ」 と、ニッと笑った。 「それだけ?」 「それから、凛々ちゃんと自分との関係は、学園内では秘密にしておいてくれって。 俺に対しても、パーティーの時みたいに凛々ちゃんに馴れ馴れしくしないようにって。 しっかり、釘を刺されたよ」 「全く効いてないじゃないですか」 「まあね。 キスしちゃった後に言われても遅いよね」 「ちょ……っ」 「はははっ」 思わず手を振り上げると、向上先生は笑いながら、ピョンと飛び上がって後退した。
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