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廊下には、人だかりが出来ていて。
きゃーっ、とか、いやだわ、とか、みんな一点を見つめて、口々に何か言ってる。
普段、刺激に餓えているお嬢様たちの目が輝いて、――なんとなく、いい予感はしなかった。
向上先生が、少し早足で掲示板の前に歩いて行って。
私も、それを追いかける。
いい予感はしない、ということは、悪い予感だってことで。
そして、悪い予感ていうのは、――いつだって、当たってしまう。
「……なに、これ……」
隣に立っている向上先生も、目を見開いている。
そして、ぐっ、と眉間にシワを寄せた。
貼られていたのは、数枚の写真。
中年の男が白いワンピースを着た女の子の肩を抱いて、安っぽいネオンが光る看板のホテルに入っていく様子。
体を竦めるように背中を丸めながら抱かれる、女の子。
厭らしくにやけた中年の口が、女の子の頬に触れているものもある。
プロが隠し撮りしたんだろうか。
ブレのない、顔がハッキリと写し出された。
『援助交際してるって、噂が』
『いかがわしい掲示板に書き込みがあったらしくて。
私の処女、買ってくださいって』
『中年の男とホテル街に入っていくのを、見ちゃって』
……美鈴、だ。
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