3613人が本棚に入れています
本棚に追加
/244ページ
“100×100の法則”っていうのが、あるんだって。
例えば、歩いているとき道端で、「私があなたを救ってあげましょう」と言われたとする。
普段ならそんな胡散臭いの、絶対無視するだろう。
もしくは、気にも留めないかも知れない。
だけど人間、生きていれば。
100日に1回は、辛いことや悲しいことがある。
そして普段の生活をしている中で、100回に1回は、そんな声を掛けられる可能性があるんだって。
その100と100がピッタリと重なった時、人はひどく無防備に他人にすがりたくなる。
それが“100×100の法則”。
だから詐欺はなくならないし、その人間心理を利用する“悪い大人”が、社会にはうようよいるんだよ、って。
そんな“悪い大人”に騙されちゃいけないんだよ―――、と。
綺麗な微笑みを浮かべ、教室でそう言っていたのは。
――向上先生だった。
最初のコメントを投稿しよう!