パンドラの箱を開けるとき

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“100×100の法則”っていうのが、あるんだって。 例えば、歩いているとき道端で、「私があなたを救ってあげましょう」と言われたとする。 普段ならそんな胡散臭いの、絶対無視するだろう。 もしくは、気にも留めないかも知れない。 だけど人間、生きていれば。 100日に1回は、辛いことや悲しいことがある。 そして普段の生活をしている中で、100回に1回は、そんな声を掛けられる可能性があるんだって。 その100と100がピッタリと重なった時、人はひどく無防備に他人にすがりたくなる。 それが“100×100の法則”。 だから詐欺はなくならないし、その人間心理を利用する“悪い大人”が、社会にはうようよいるんだよ、って。 そんな“悪い大人”に騙されちゃいけないんだよ―――、と。 綺麗な微笑みを浮かべ、教室でそう言っていたのは。 ――向上先生だった。
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