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泣き腫はらして、重たい瞼と、ズキズキ痛む頭。
憂鬱な気持ちを引きずって、いつもより早く登校した。
高雄とは、顔を合わせていない。
私が朝ご飯を食べる時間には、もう仕事で離れを後にしていた。
『おはよう、お嬢』とだけ書かれた置き手紙と、簡単な朝食を残して。
「……ふぁ……」
まだ人がまばらな教室に入り、自分の席で欠伸を噛み殺す。
こんなお嬢様学校の中で、大口を開けて欠伸なんてもっての他。
「今日、一限目は自習だと聞きました?」
「ええ、なんでも緊急の職員会議とか」
「やっぱり、あれかしら。
ほら、あの援助交際の……」
数人のグループから聞こえてくるひそひそ話。
“援助交際”の言葉に少し頭に血が昇りそうになったけど、こんな人たちに美鈴の真実を伝えたところで、どうにもならない。
耳を塞ぐように両肘を机に付き、唇を噛んだ。
今から始まる臨時の職員会議。
そこで話し合われるのは、きっと、美鈴の処分についてだと、誰もが感付いていた。
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