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峰岸先生の言葉に、ぴょこ、と顔を上げる。
講師の都合上、か。
実業家って忙しいんだろうな。
選択授業には、毎年その道のプロに学園が依頼して、講師として来てもらってるらしい。
経済学にはファイナンシャルプランナー、政治学には政治評論家、といった形。
だからこそ、文化祭が試験だのオリエンテーションだのと、講師を立ててるわけ。
「日本文学、講師の名前変わってないなぁ」
高雄の言ったことを鵜呑みにしてしまったけど、プリントには『竜胆善次郎』の名前がドーンと威厳を放っている。
…もしかして、私、高雄に騙された？
一抹の不安を抱えながら、指定されている教室へ向かった。
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