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教室に入ると、見知った顔が目に飛び込んできた。
「あ、美鈴(ミスズ)!」
私の声に反応して、彼女も笑顔で手を振ってくれる。
「凛々ー!なんか久しぶりだね。
この授業取ってたんだ」
「うん。うわー、嬉しい!
こうやって一緒に授業受けるの、小等部以来じゃない?」
「ほんとー!良かったあ、日本文学取って」
お人形のように可愛らしい美鈴は、私と同じように小等部から清流学園に通っている。
中等部からクラスが変わって、普段はあまり接点がないけど、会えばガールズトークが爆発する気の合う友達の一人だ。
「でも、凛々。よくこの授業選んだね。
…華道家の、竜胆先生なのに」
隣に座った私に、少し眉をひそめて内緒話のように語りかける美鈴。
美鈴の家は日本舞踊の総本家だから、竜胆先生のことは、もちろんよーく知ってるはず。
「美鈴こそ…」
「親が強引に決めたの~。
私は恐いから嫌って言ったのに~」
眉をハの字にしながら、情けなく私の肩を揺すってくる。
……その気持ち、分かるよ美鈴…。
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