3615人が本棚に入れています
本棚に追加
颯爽と扉から入ってくる、長身でスーツを着こなす魅力的な男性。
彫刻のような切れ長の目尻をくしゃ、と崩して笑顔を見せると、教室内にいた女の子たちが「きゃーっ!」とミーハーな声を上げる。
「…誰?かっこいい…」
口を半分緩めながら、美鈴は彼から目を離さず呟いた。
私も彼から目を離せず、口を開けたまま固まった。
……かっこいいから、じゃなくて。
今、壇上に立っているのは、
……高雄、だったから。
「初めまして、加賀です。
一部の人はもう知っているかもしれませんが、竜胆氏の都合がつかないため、臨時として日本文学の授業を受け持つことになりました。
文化祭までよろしくお願いします」
穏やかな笑顔で、流暢に挨拶をする高雄。
は?
なに?高雄が?
……私の先生になるの?!
「えっ、えぇえっっ?!」
思わず立ち上がって、奇声を上げてしまった。
美鈴が目をぱちくりさせて私を見上げ、教室中の視線を浴びる。
そんなことに気づきもしないで、口をパクパクさせていると、高雄は私を見てニヤリと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!