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「早速すごいねぇ。
ま、あれだけカッコイイから無理ないか」
扉の前で立ちすくんでいる私に、美鈴がのほほんとした雰囲気で話しかける。
「凛々の御祖父様のお弟子さんでしょ?
初日からあれじゃ、これからますますファンが増えそうだね」
廊下に群がる女の子たちを、若干呆れたような冷ややかな目で見つつも、ケラケラと笑う美鈴。
「知らない。
…てか、ああいう奴って嫌い!」
「えっ、ちょっと!凛々!」
「私もう行くね。
またね、美鈴」
これ以上見ていたくなくて、足早にその場を去った。
『嫌い』と強く言い放って歩いて行ってしまった私に、美鈴は驚いていたけど、
すぐに「ばいばーい」と明るく手を振った。
その声を後ろに聞きながら、私は前だけを見つめて、高雄の横を通り過ぎた。
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