3615人が本棚に入れています
本棚に追加
ガタっ!
後ろからの声に、勢いよく振り返る。
恵那は、あー…、と、言葉を濁して視線を泳がせていた。
……恐い笑顔の高雄が私を見下ろしている。
「…っ!た、たか…!」
「誰が鼻の下伸ばしてたって?」
ペチ。
まるで幽霊でも見てるように目を見開いている私のおでこを、高雄が軽く叩く。
「…いた。
って、なんでいるのよ?!」
おでこを摩りながら、慌てて教室内を見渡す。
いつの間にか、残っているのは私たちだけになっていて、がらんとした空間が広がっている。
「お嬢のご機嫌取りに。
びっくりしたろ?」
「びっくりしたろ…って!
なんで高雄が臨時講師なのよ!?」
「しーっ…」
高雄が口に人差し指を置いて、攻め立てる私の勢いを止めた。
最初のコメントを投稿しよう!