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「ほんとに。
なんで高雄さんなんですかね。
凛々の後見人て他の生徒が知ったら、色々問題になりそうなのに」
口を開いたのは恵那だった。
的確な疑問に、私はうんうん、と便乗して、高雄をじっと見つめる。
「うん。だから、俺は生田流の師範として呼ばれたんだ。
お嬢とは一切関係ないってことでね。
竜胆氏の辞退が急過ぎて、他に人がいなかったみたい。
それで、よく学園に出入りしてた俺に白羽の矢が立ったわけ。
俺がお嬢の後見人て知ってるのは理事長ぐらいだから…、
お嬢も、学校では『高雄』なんて呼んじゃダメだよ。
……俺らの関係は、秘密だよ?
バレないようにね…生田さん」
イケナイ悪戯をする前の、子供のような瞳で笑う高雄。
―『生田さん』。
初めて聞く、高雄の他人行儀な呼び方が、
高雄を別人のように感じさせた。
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