驚きの再会

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おじいちゃんの部屋を出て、高雄と二人で離れに戻るため廊下を歩く。 「いつ帰ってきたの?」 私の数歩前を歩く高雄の背中に話しかける。 「たった今。 帰りの車の中で雪江さんから電話があってね。 荷物だけ離れに置いて、すぐ来たから」 少し歩幅を緩めて、肩ごしにそう答えた。 …雪江さん。 高雄は最初から、お母さんのことを名前で呼んでいる。 今でこそ違和感はないものの、初めて聞いたときは、身内以外の人が母を名前で呼ぶことが特別な気がしてならなかった。 ……実は、高雄が来た当初は、お母さんの新しい恋人なのかと思っていたほど。 私を19歳という若さで産んだこと、 父親が誰なのか、私はおろか、おじいちゃんにすら未だに話さないこと、…… そういう常識はずれな母だから、若い恋人を家に連れ込んでもおかしくない、そんな目で二人を見ていた時期もあった。 ……でも、母にはちゃんと特別な人がいることを知って、その疑惑は晴れたのだけど。 お母さんと高雄が知り合ったきっかけなんかは、謎のまま。 踏み込めないものがある気がして、歳をとってオトナに近付くにつれ、ますます聞くに聞けなくなっている。 .
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