驚きの再会

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「…お母さん、元気そうだった?」 その問い掛けに、高雄は足を止めて、後ろにいる私の方に向き直った。 「うん。相変わらず忙しそうだったよ。 俺に電話かけてきた時も移動中だったみたいで、5分も話さず切られたし。 …でも、一番にお嬢は元気か、って聞いてきたんだ。 ……やっぱり、親子なんだな…」 私の頭に、ぽん、と手を置いて優しく見つめられる。 ……私と同じことを、お母さんも気にしていたことを知って、心の奥が、じんわりと温かくなってくる。 ほとんど会えない、話せない母だけど、月に2回、必ず手紙が届く。 仕事で行った海外のポストカードだったり、たまには一緒に小さなお土産も入っていたりする。 もう何年も、欠かさず続いている母からの手紙を心待ちにしている辺り、まだまだ親離れが出来てないんだな、と、恥ずかしい気持ちもあるんだけど…。 「…寂しい?」 高雄にそう聞かれて、すこし照れ臭くなる。 寂しくないって言ったら嘘だけど……、 「大丈夫。…高雄がいるもん」 私の返事に、高雄はくしゃ、と、表情を崩して、 プニ。 と、頬をつままれる。 「…当たり前だろ。 俺はそのために、お嬢に仕えてるんだから」 ……イタイ…。 それが『お嬢』に対してやることか? 意地悪だけど、私を見つめる瞳は、すごく優しいから、 …何も、言えなくなる。 .
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