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…なのに。
「高雄ーーっ!間に合わない!
送ってってーー!!」
涙目で高雄の仕事部屋に駆け込む。
パソコンに向かい、何やら資料を見ていた高雄は、あたしの形相に驚きながらも、すぐに状況を理解して立ち上がる。
「車出してくるから、表で待ってろ」
特に表情を変えずに私の頭をぽん、と叩くと、
さっさとガレージに消えてしまう。
パソコンの上に残された読み掛けの冊子を見て、少し不思議に思いながらも、時間がないことを思い出し玄関へ急ぐ。
ジャスト8時の私の時計代わり…それがズレていた。
何故か、15分も遅れていたのだ。
そりゃあ、多少のズレは今まであったけど、こんなに遅れて始まることは今までなかった。
ともあれ、朝の15分は大きい。
鞄を持って、ふと時計を確認してその事実を知ったが、後の祭。
バスの時間に間に合わなくて、高雄に泣きついたというわけだ。
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