驚きの再会

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洋介さんは、まじまじと私の顔を見ている。 「いや…すごいな。 …ただの可愛い女子高生のイメージだったから。 なんて言うか、…やっぱり令嬢としての貫禄がある」 感心した、と言うような表情。 それよりも、…『可愛い女子高生』の言葉に、ちょっとニヤけてしまう自分がいる。 「…なに、ニヤニヤしてんの」 くいっ、と、私の顎を持ち上げて、高雄に顔を覗き込まれる。 突然の動作と至近距離の高雄の顔に、一瞬で我に返った。 「に、ニヤニヤなんてしてない!」 恥ずかしくて、勢いよくその手を押し戻す。 どことなく不機嫌そうな高雄は、洋介さんに向き直ると、 「ご令嬢が挨拶したんだから、お前もちゃんとしろ」 そう言い放った。 「ああ、そうだね。 …辰巳洋介です。 音大ではピアノを専攻してましたが、サークルで琴も少しだけかじりました。 本格的に学ぶ為に、住み込みとしてお世話になります。 ……これから、よろしく。凛々ちゃん」 私と高雄のやり取りにも動じることなく、柔らかな雰囲気のまま、私に右手を差し出す。 その手に私も手を重ねると、ぎゅっ、と強めに握られた。 「こちらこそ、洋介さん」 笑顔を返すと、突然、私の衿が、くんっ、と後ろに引かれた。
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