お似合い

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キラリ、と切れ長の涼しげな恵那の目が光った。 ……気がした。 「凛々がこの年で恋愛に無縁なのは、アンタが男に対してそういう視線を送らないせいでもあるのよっ」 「…そ、そういう視線、て?」 「だからっ! 常にアンテナを張るの。 自分に近づいて来る男に、恋の可能性があるかどうか」 「…はあ…」 ……恋の可能性、と言われても。 私は高雄が好きだから、藤沢くんを始め、恵那が紹介してくれる男の子にはそんな風に意識はしないってだけなんだけどな…。 恵那は私の生返事を聞くやいなや、あからさまなため息をついて握っていた手をポイっと放す。 「まあ…凛々の場合は『家守』のガードが固いから仕方ないけど」 突然、高雄の話題になって、心の中を見透かされたようでドキリとする。 けどそんなことは気付かずに、恵那は頬杖をついて小悪魔な笑顔を向けていた。 「いいじゃん、洋介さん。 顔も悪くないし、雰囲気も柔らかくて。 案外、お似合いなんじゃない?アンタたち。 しかも、同じ敷地内に住んでるなら、時間も関係なく家守の目を盗んで会える」 「ちょっと待ってよ。 そもそも、洋介さんが私にそんな気を起こすわけないじゃんっ!」 恵那は若干、妄想癖があったりする。 私が置かれているシチュエーションがそれを掻き立てるのか、だんだんヒートアップする彼女を諌めようと声を大にして言い切った。 だって、洋介さんは恵那のいう通り、確かに素敵な人だと思う。 彼女がいるかも知れないし、言い寄ってくる人は後を絶たないはずだし。 ところが恵那は、ますます得意げな笑みを私に返してきた。 「バカね。 可能性があるから言ってるのよ。 凛々が家守と帰ったあの日、洋介さん、あたしに聞いてきたのよ? 凛々のこと、根掘り葉掘り。 興味がない女のこと、知りたいなんて思う? あたしの予想では、近いうちに洋介さんは凛々に近付いてくるわよ。 そしたら、…凛々も、その可能性を否定出来なくなる」 …恋愛上級者、恵那様の、 お告げのような、…予言だった…。 ….
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