お似合い

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行儀悪くも、半分脱ぎかけた上履きをパタパタと足で遊ばせながら返事を待つ。 手の中で携帯が震えて、メールを開いて中を見ると、 私は泣きそうになってしまった。 『学校はプライベートじゃない。 公私混合は控えるように』 いつもとは違う、冷たく言い放ったような文面。 今まで一度だって、高雄をこんなに遠く感じたことはなかった。 きゅっ、と唇を噛む。 …これから、大人になっていく中で。 高雄だけじゃなく、私の世界も広がるたびに、 こんな切ない想いを重ねていかないといけないんだろうか。 ……高雄と、離れるために。 ヴー、と、振動を伝えて、再びメールが届く。 「……あ」 半ベソの私の気持ちが、にわかにお日様が当たったように温かくなった。 『30分待てるなら、連れて帰ってあげる』 .
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