パーティーに潜む嵐の予感

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「そういえば、恵那が驚いてた。 洋介さんが、うちの住み込みさんだったこと」 3つ目のケーキに手を伸ばしながら何気なく言った。 「…ああ。 言っちゃったんだ」 「うん。 …え?ダメだった?」 「いや、別に。 ただ、恵那ちゃんから藤沢に伝わったら面倒だなって」 「…藤沢くんにも言ってないの?」 「……。 言ったら、毎日押しかけて来そうだろ」 「なんで?」 「なんでって…」 「?」 「…いや、なんでもない」 何故か笑いを噛み殺すようにコーヒーを啜る洋介さん。 私は首を捻りながらもケーキを頬張る。 …なんなんだろう。 この人の独特な口調と纏う雰囲気は、何故か安心感がある。 こんな閉ざされた空間で男の人と二人きり、なんて、いくら私でも意識しないはずないのに。 だけど洋介さんにはそれがない。 まるで、女友達と一緒にいるみたいな。 外見はカッコイイ男の人全開なのに、…何故か、中性的な魅力がある。 …甘いもの、好きだし。 なんて、呑気に考えているときだった。 「…なにしてんの、二人で」 私の背後から、聞き慣れた声が帰ってきた。 …不機嫌なオーラと共に。
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