パーティーに潜む嵐の予感

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「…はい」 首だけを回して、高雄を見ようとする。 次の瞬間、脇の下に手を入れられ、ひょい、と持ち上げるようにして高雄は私を立たせた。 「なんで、辰巳を『離れ』に上げたの? 俺がいないのに」 強引にぐるんっ、と体を回転させられ、正面には怒ったような呆れたような高雄の顔。 「…なんか、まずかったの…?」 恐る恐る、聞いてみる。 だって、どうしてこんなに不機嫌なのかが、分からない。 高雄は小さくため息をつくと、じっと私の瞳を覗き込むように見据えた。 「お嬢。 男と女が二人きりっていう状況が、どんなに危ないか分かってる?」 「……わ、わかってるよ」 「じゃあなんで、辰巳を中に入れた?」 「よ、洋介さんは、住み込みさんだもんっ。 それに、私に対して変な下心も感じなかったし」 「それが危ういんだよ。 お嬢は、男ってのを軽く見すぎてる」 「……。 洋介さんじゃなかったら、入れてないもん。 …大丈夫だって、確信があったから……」 高雄の鋭い視線に、言葉が詰まる。 子供扱いに対して反論しようとしてた勢いが、シュルシュルとしぼんでいく。 「……」 「……」 「…高雄」 「なに」 「…私って、そんなに危ういの…?」 「……」
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