パーティーに潜む嵐の予感

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するり、と、身につけていたブラジャーを外す。 白く、肌がほんのり透けるほどの薄い綿の肌着を纏い、紐を締める。 新品の足袋を履くと、閉じられた座敷の襖の向こうから、高雄の声が聞こえてきた。 「お嬢、終わった?」 慌てて、床に落としたままの下着を隠してから、私は「うん」と返事をした。 すっと襖が開かれ、高雄は透ける胸を押さえて隠す私に、特に表情を変えないまま部屋へ入ってくる。 壁に掛けられていた銀で縁取られた蝶が華麗に舞う若草色の振袖を、ふわりと私の肩に掛けた。 暗黙の了解で袖を通すと、高雄は私の正面に周り、膝をついて腰紐を巻いていく。 週末。 お母さんの代理で出席するパーティーのため、高雄は私に着物を着付ける。 昔から、私の着付け担当は高雄だった。 …いつからだろう。 身体を見つめられるのが、恥ずかしくなったのは。 薄い膜一枚だけを隔てて、肩に、腰に、胸に、 …触れられることに、緊張し始めたのは。 .
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