パーティーに潜む嵐の予感

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お母さんのことを、知っている…? よくよく考えれば、これはお母さんが招待されているパーティーなんだから、お母さんの仕事関係の人がいても何ら不思議はない。 「母とは、…お仕事で…?」 彼は、私がそう尋ねると分かっていたかのように、小さく笑った。 「つい最近、一緒にアメリカでの大きなイベントを終えたところなんだ。 と言っても、直接会ったのは、2回しかない。 彼女の会社が主催のイベントに、俺個人がちょこっと参加したくらいだから。 …どうぞ。よろしくね」 そう言って彼は、名刺を差し出した。 それを受け取り、見てみると、最近話題になっているベンチャー企業の名前がズラリと並んでいた。 …色んな業種を手がける、青年実業家ってことか。 チャラいイメージだけど、…実は、すごい人なんだ。 …でも、…堅い名刺と実物のギャップが、ありすぎ…。 ふと手元に影が出来て、なんだろうと目線を上げると、思いのほか彼の顔が近くなっていて固まってしまった。 「…やっぱ、めちゃくちゃタイプだ。 これから、二人で抜けない?」 「お断りします」 まるで合コンの決まり文句のような言葉を放つ彼に、きっぱりと言ってのける。 お母さんの仕事相手なのに……、と、少し後ろめたい気持ちもあったけれど。 「おっと。 …結構、マジなんだけどな。 オトモダチから、考えてみてくれない?」 「…いえ。 結構です」 「そう? …好きな人が、いるから?」 「……」 彼は、私をからかっているのか、くくくっ、と笑った。 「生田流総本家の、お嬢様。 …袴姿の彼なら、止めておいたほうがいいよ」 .
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