晴天の霹靂 2

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「加賀先生、婚約者がいたんだってねー」 「……みたいだね」 多分、すべて分かっているであろう恵那がニヤニヤと私をからかう。 「どうせ他の子にキャーキャー言われてるのが癪で、あんたが加賀先生に何か言ったんでしょ」 「……」 ほら、ご名答。 分かってるなら言わないでほしい…。 「凛々はブラコンだねー」 「……。 高雄は、お兄ちゃんじゃないもん…」 「でもお互いにそんな感じでしょ? 凛々が小さい頃から、ずっと一緒に暮らしてるんだから」 「……そう、なのかな」 私は、違うんだけどな。 ……高雄は、そうなのかもしれない。 『ブラコンの妹と、その妹が可愛くて仕方ない兄貴』 私たちの関係は、恵那にはそう映っているみたいだ。 恵那にからかわれながら、今日から始まる経営学の授業に向かう。 教室に入ると、日本文学の授業よりも選択している人数が多くて、私と恵那は空いていた窓際の後ろの席に並んで座った。 授業が始まるまで、あと5分ほど。 窓の外に目をやると、雲一つない、晴天。 初夏の清々しい風が、ふわりと髪を揺らした。 「…ん?」 ふと、目線を空から下に向ける。 そこは、ちょうど中庭が見えていて、 …意外な人が、まるで、隠れるように壁際に立っている。 その光景に、私は思わず目を見張った。
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