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……あ、あ、…有り得ない…。
両手で口を覆ったまま、机に顔を突っ伏させる。
『君が望まないにしろ、近いうちに、また会えるよ』
週末の彼の言葉が、リフレインする。
…あれは、こういうことだったんだ。
生田流総本家の令嬢だと知っていれば、私がこの学園の生徒だというのは周知の事実。
彼は、知ってたんだ、最初から。
それから彼、……改め、向上先生は、自己紹介を兼ねて自分が手がけて来た仕事や会社の運営方法なんかを話していたように思う。
まったく、頭に入って来なかったけれど。
ただ印象に残ったのは、事あるごとに女の子たちが喜ぶ言葉をスラスラと並べていたこと。
隣の恵那だけは、苦い顔をしてたけど。
ものすごく、女の子の扱いが上手いと言うか、…最初のイメージ通り、女好きな軽い人。
だけど、あのパーティーの時に感じた、
…冷たく冷めたような目は、一度も、見ることはなかった。
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