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放課後。
私は中庭で一人、日直である恵那の職員室での用事が終わるのを待っていた。
生け垣の傍に設けられた、木のベンチに座って、噴水の水しぶきをボンヤリと眺める。
…なんか、疲れた。
高雄が学園の講師になったってだけで大事(おおごと)だったのに、…あんな、意味不明な向上先生まで私のテリトリーに入ってくるなんて…。
小さなため息は、水の透き通った音が消してくれる。
…別に、気にすることないか。
高雄と違って、向上先生とは、この学園以外で接点はない。
正直、もう会いたくないと思っていたけど、仕方ない。
一度からかわれたくらいで、向上先生は、私を何とも思ってないかも知れないし。
『一目惚れした』なんて台詞、誰にでも言ってるんだろうし……。
頭を切り替えるように、腕を空に向けてうーんと伸びをした。
…ときだった。
「ね、また会えたでしょ?
…生田流総本家のお嬢様」
驚いて振り返ると、壁にもたれながら腕を組み、…綺麗な微笑みを浮かべた、
向上先生が、立っていた。
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