晴天の霹靂 2

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放課後。 私は中庭で一人、日直である恵那の職員室での用事が終わるのを待っていた。 生け垣の傍に設けられた、木のベンチに座って、噴水の水しぶきをボンヤリと眺める。 …なんか、疲れた。 高雄が学園の講師になったってだけで大事(おおごと)だったのに、…あんな、意味不明な向上先生まで私のテリトリーに入ってくるなんて…。 小さなため息は、水の透き通った音が消してくれる。 …別に、気にすることないか。 高雄と違って、向上先生とは、この学園以外で接点はない。 正直、もう会いたくないと思っていたけど、仕方ない。 一度からかわれたくらいで、向上先生は、私を何とも思ってないかも知れないし。 『一目惚れした』なんて台詞、誰にでも言ってるんだろうし……。 頭を切り替えるように、腕を空に向けてうーんと伸びをした。 …ときだった。 「ね、また会えたでしょ? …生田流総本家のお嬢様」 驚いて振り返ると、壁にもたれながら腕を組み、…綺麗な微笑みを浮かべた、 向上先生が、立っていた。 .
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