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「ところで、その事件のあった部屋には、その鍵が掛かっていた扉しか、入り口は無いのかね?」
瀬崎はまず最初にそれを確認しておきたかった。
よくよく部屋を調べれば、密室でもなんでもありませんでした、とでもなれば、いい恥曝しだ。
瀬崎の問いに園山が答える。
「はい、窓は嵌めごろしで開けられませんし、秘密の入り口なんてのもありません。合い鍵はなく、市蔵さんの持っている鍵しかないそうです」
「これじゃ、この鍵じゃ」
市蔵が瀬崎に書斎の鍵を見せる。瀬崎は手にとって確かめる。
書斎の鍵は偽造が困難なもので、容易にピッキングすることも出来ないタイプのものだった。
「つまり……完璧な密室ということか……」
重苦しい空気が当たりを包んだ。
そんな中、園山が口を開く。
「どうやって、犯人は密室の中の市蔵さんを殺害し、なおかつ、死体を外に運び出したのか……」
瀬崎が園山に確認する。
「……この屋敷にすんでいる人は?」
「主人の市蔵さん、夫人の雪江さん、息子の浩之さん。そして家政婦の山岸和子さんの四人です」
園山は答えた。続く瀬崎の言葉に一同は騒然とすることになる。
彼は言った。
「その中に……犯人がいる」
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