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「ところで警部。犯人は一体誰なんですか?」
犯行が内部の人間によって行われたという事までは絞ることが出来た。
しかし、その中の誰が密室の中の人物を殺害し、さらに死体を消し去ってしまうという人間の業を越えた所業を行ったのか。
皆目見当が付かないところが正直な話だ。
「犯人は誰なのか……。それはまだ分からぬ。何か、何か見落としているような気がして……」
そうだ。何か重大な見落としがこの事件にはある。
瀬崎の視線は自然と市蔵氏の元へと向かった。
園山も頷く。
「そうなんですよ。それは僕も感じていたことで」
園山の視線も市蔵氏に注がれた。
二人からの視線に、市蔵は顔を真っ赤にして怒鳴った。
「なんでワシを見る!まさかワシを疑っておるんじゃないだろうな!」
血走らせた目で、二人を睨みつける。
瀬崎はそんな市蔵の態度に動じず、冷静に話した。
「ご主人、部屋を一つ貸していただけませんか?そこで一人一人、事情聴取を行いたいのですが」
市蔵は相変わらず憤慨している様子だった。
鼻息荒く、言い放った。
「むうっ!どうしても、うちの者を疑いたいようじゃな!もうええ!勝手にせい!身の潔白を証明してやるわ!」
そう言うと、市蔵は奥の部屋へと引っ込んでしまった。
瀬崎と園山はやれやれといった表情でお互い顔を見合わせると、取り調べの方針について話し合った。
瀬崎警部と園山刑事による取り調べがはじまった。
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