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ダンッ!!
浩之が書斎の厚い扉に体当たりをする。
何度も……。何度も……。
だが扉はビクともしない。
「旦那様!」
「ああ、あなた!死なないで!」
和子と雪江は必死に書斎の中の市蔵に声をかける。
しかし返事はない。
はあはあと息を切らせた浩之が言う。
「駄目だ、ビクともしない。せめてもう一人、男手があれば……」
もはや打つ手なしかのように思われた。
だがしかし、まるで浩之の言葉に呼応するかのように、廊下の向こうから一人の男が現れた。
「なんじゃ、騒々しい」
この屋敷の主、市蔵だった。
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