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「ああっ!旦那様!それが、書斎の中で旦那様が倒れているようで!」
和子は鬼気迫る表情で市蔵に迫った。
「なんじゃって!?そりゃあ大変じゃあ!」
市蔵は血の気が引いていく感覚を覚えた。
「ああっ!あなたっ!……うううっ」
雪江は泣き崩れている。
「親父!手伝ってくれよ!書斎で親父が心臓発作で倒れているんだ!早く扉をぶち抜かないと!」
市蔵の瞳に力強い輝きが宿った。ここは一家の長の、いや漢の見せ所だ。
市蔵は腕を捲った。
「ようし、任せいっ!」
浩之と市蔵は息を合わせ扉に突進する。
確かな手応えとともに、バキッと悲鳴のような音を上げながら、扉は部屋の中へ倒れていった。
……密室の扉は開かれた。
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