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突然怒り、口汚く自分を罵りだしたすぐりに、女性は椅子に叩きつけられたまま、しばし呆然と頬を押さえる。
「…ふうん。」
やがて少しずつ意識が覚めだすと、自分の金属の脳が床に転がる装置で攻撃されたのを理解しているらしいすぐりを眺めて、わざとらしく小首を傾げた。
「クラッキングを仕掛けられたという自覚があるのね。」
「ランプ先生の設定じゃ、クラッキングに対しては無自覚無反応らしいけどさ。
それじゃ何の勉強にもなんねーから、私が勝手にいじらせてもらったんだよ。」
「使い古しのガラクタを寄せ集めたポンコツのくせに、賢いのね。」
女性はいやに質の良い声で、すぐりを誉め称えてやった。
このすぐりに激怒として現れた過剰な感情反応は、実は彼女がDr.ランプに及ばなかった為に現れてしまった現象だったのだが、女性にとってそれは何の問題にもならず、また女性自身も一切気に留めなかった。
すぐりは、マイロイドに手を加えることができる。
「もう一遍言ってみろ…これ以上ランプ先生と私らマイロイドを馬鹿にしたら…」
すぐりが何かを続けようとするのを横目に、女性は立ち上がり、手足の自由を奪われ、床に放り出された洋助の前に立つ。
「え…?」
そして、突然自分の前に立った女性に戸惑う洋助の腹に、黒く照るパンプスを履いた足を押し付けた。
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