11人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
色素の薄い栗色のゆるい長い髪と人形を思わせる整った顔。
それが彼女。
この学園の「姫」と
称される――…
「春風百合さん!好きです!俺と…付き合って下さい!」
「…断る。だって私、あなたに興味ないもの。」
春風百合――
「え。あ…」
彼女の告白の返事は、精一杯想いを伝えた、いたいけな少年の心を確実に貫いた。
「話は終わり?私、暇じゃないの。」
容姿からは想像も
出来ないような冷たい視線。
「あ…終わり、です…お時間取らせて、申し訳ありませ…ん。」
少年はズタズタの
心のまま、謝った。
「そ。じゃ。次はあなたに見合った人に惚れることを勧めるわ。」
ふわりと長い髪を浮かせ、彼女は少年に背を向けて歩き出した。
そう。これが
才色兼備で学園の姫。
春風百合。その人だ。
「姫」からは想像も出来ない
仏頂面と冷たい態度。
こうして彼女にフラレるのも珍しいことじゃない。
だが不思議なことに
彼女に好意を抱くものがあとを絶たないのも、また事実。
そんな彼女の魅力は
校外にまで及ぶ。
人に対して、好きも嫌いも抱かない彼女だが、そんな彼女にも一人だけ大嫌いな奴がいる。
「ゆ~りちゃん♪」
最初のコメントを投稿しよう!