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「………」
「百合ちゃん!百合ちゃんってば~!」
明るい金髪。
整った甘いマスク
鼻にかかる甘い声。
「なんの用?…藤堂一。」
彼女が大嫌いな男。
魔性の遊び人。藤堂一。
だらしないくせに何でもそつなくこなすこの男が、彼女は大嫌いだった。
女にもだらしなく
いつも周りに女をはべらせているこの男が。
「お。やっとこっち向いたね?ダメじゃん。一生懸命百合ちゃんに告白した男の子を、あんな冷たい言葉であしらっちゃ!」
「めっ!」と付け加える。
彼女は何故、女のコ達がこんな男に夢中なのか、わからなかった。
「あんたに関係ないでしょ。近寄らないで。」
と一瞥する。だが
「それよりさ~!百合ちゃん今度いつ暇?遊ぼうよ~♪」
と気にもとめない。
「…………」
彼女は無視して教室に戻る。
だが、また彼もついてくる。
「ついてこないで。」
と一瞥しても
「やだな~!俺も同じクラスでしょ?百合ちゃんって、意外と自意識過剰?」
とニヤニヤ話しかけてくる。
―――ガラ
「!あ~!一!探したんだよ~?どこ行って…て!なんで春風さんと一緒!?」
きゃ―――!と
クラスの女子が騒ぐ。
…うるさいな…
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