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「…………宣言?」
…少し、驚いた。
私の毒に気を止めず、見たことのない、少し真剣な顔を……していたから。
「そう。宣言。」
「ちょ、ちょっとぉ!どうしたの?春風さ…ん。…て、一!?」
戸惑いを隠せない
藤堂一の周りの女子達。
「あなたも聞いておきなさい。」
「へ?」
私はじっと
藤堂一を見据える。
「藤堂一。この子、私があんたに惚れないか心配なんですって。」
「…それで?」
「さっきも言ったでしょう。宣言しに来たのよ。「私は何があっても、あんたみたいな男に絶対惚れない」ってね。」
ざわっと教室が騒ぎ出した。
「は春風さんッ!?」
「言いたかったのはそれだけよ。じゃ。」
私がくるりと身を翻したとき
「へぇ。「何があっても絶対惚れない」ねぇ。」
聞いたこともないような
声が背後からした。
「え……」
誰の声……
「面白いこと言うねぇ。」
振り返ったとき
私は見てしまった。
ぐいッ!
「!!」
「その言葉。忘れちゃダメだよ?百合ちゃん?」
妖しく微笑む
悪魔の顔を―――
気付いたときには
生暖かくて柔らかい
感触が唇にあった。
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