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夜の真っ只中、古びた教会の前に男が一人。
彼は取っ手に手を掛け、ゆっくりと扉を開いた。
軋んだ音が響く。
中には明かり一つ就いてはいない。
ただただ、真っ暗な闇が広がるのみ。
埃を被った床を踏み締めながら、男はポツリと呟いた。
「…ただいま。」
当然返事は無い。
此処には彼以外、誰も居ないのだから。
男は暫くして、埃の被った椅子に腰を降ろした。
教会の中を懐かしむような表情で見回し、半壊して横たわっているマリア像に目を移す。
「……」
男は無言のまま、像を見つめていた。
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