出合い (正也)※R-18

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 緑の瞳がじっと俺を見上げている。ふいに、溜まっていた涙が俺の目からぽろぽろとこぼれた。  緑の瞳がゆっくりと近づいてきて、見えなくなった。唇に冷たいものが触れる。少女の唇。    そっと触れるだけのキス。冷たい唇。俺は動かなかった。      少女は唇を離すと続けて、俺の頬に涙の跡を拭うようにキスをする。労わるようなやさしい仕草。    心地いい。    また唇を重ねてくる。今度は唇を舐められる。そっと俺の唇の間に舌の先で触れる。俺は僅かに唇を開く。それに合わせて少しずつ舌を入れてくる。強引さはない。  されるまま、舌を絡める。やがて、深くなる。思わず彼女を抱き寄せる。    細い、、強く抱きしめると折れそうな身体。しばらくゆっくりとお互いを味わって、どちらからともなく顔を離した。 少女は何もなかったように、もといたソファにちょこんと座ってこっちを見ている。    ぼーっと彼女を見つめていた。  はっと、意識が戻る。おいおい、しっかりしろ高校生。相手は子供だ。いや、子供相手に何してんだよ。 「えっと、、、」 何か言おうとしたけれど言葉が見つからない。 「あんた、ここで何してんの」 そのかわいらしい容姿からは想像がつかないほど、ぶっきらぼうな口調。 「え、、君が外で倒れてたから、運んで来たんだ」 ん?と彼女は首を傾げる。 「倒れてた、、、俺が?」 「あのドアから出てきて倒れたから、びっくりしたよ。身体は大丈夫?」 ドアの方を指さす。 彼女は考え中。 「ああ、そっか、、」 渋い顔をして、片手で顔を覆う。やってしまった、って感じに。 助けたお兄さんらしく、いろいろ質問してみた。 「ここでなにしてたの、学校は?」 「え、、」 怪訝な顔でこちらを見る。 「中学生だろ?」  体格というか、さっき抱き寄せた感じからして、高校生ではない。いまどきの女子高生はもうちょっといい体をしているはずだ。小学生でもおかしくない。 「行ってない」 行ってないって、どうゆうことだ。 「迷惑かけたな。ありがと、もう大丈夫。」 そう言うと、立ち上がって出口に向かってすたすたと歩いていく。 なんか、危なっかしい。肩を掴んで引き留める。 「送ってってやるよ、自転車だけど。」 「いいよ、遠いし」  振り返って、俺の方をじっと見る。穴があきそう。綺麗なな女の子に見詰められて焦る。 「あのさ、、おまえ、、、」 彼女は何か言いかける。
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