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あ・・・。
京の顔がさっきよりもニヤついている。
「お、おまえ・・・男!」
「ばれたか。」
京がペロッと茶目っけたっぷりに舌を出した。ぷっと吹き出すのを堪えて、風呂場へ掛け込ん行く。バタンとドアが閉まるのと同時に大笑いする声が聞こえる。
隠れても聞こえてるよ。確信犯だ。俺はばたっとテーブルに突っ伏す。穴があったら入りたい。恥ずかし過ぎる。男かよー。
しばらくすると京が出て来た。今度はちゃんと服を着ていた。てかさ、スカート。
「なんでスカート履いてんの。」
「ん?ファッション、これメンズ。」
どっから見ても女ですけど、いや・・・よく見ると、確かに服のデザインが女の子にしてはハードだ。いま思えば言葉遣い、立ち居振る舞い、確かに男かも。その綺麗な顔さえなければ。俺の思いこみか。
俺ははぁっと深いため息をつく。なんか疲れた。
「わりーな、女の子じゃなくて」
全然悪いと思ってないだろーが、バカにしやがって。ムカついたが、子供の悪ふざけに真剣に怒るのも情けないし、というか、そんな元気がなかった。
「いや、俺が勘違いしただけだから。」
「そんな凹むなって、なんか傷付くぜ。」
こっちが傷付くわ、、まったく。
京が俺の頭にポンと手を載せる。京の顔を見る。もう笑っていない。緑の瞳、綺麗な子だ。見惚れてしまう。
「泣いてたな、さっき」
え、あ、倉庫でのことか。
「あ、ああ、なんでもねえよ」
目を逸らす。
「随分辛そうだったけど、なんかあったのか?」
言える訳がない。友達に犯された、なんて。なにかあったのか、と言われて思い出してしまう。あの感触が蘇る。
「正也?」
京の心配そうな声。
「なんでもないよ。」
フラッシュバックをなんとか振り払って立ち上がる。だめだ、忘れよう。テレビでも見ようと誘う。
テレビの前のソファに並んで座ってテレビを見る。これといって面白い番組はしていない。京はぼーっとテレビを眺めている。
こいつ、、、男かよ。股を開いて座っている辺りは、確かに女の子じゃないな。目がトロンとしてる、眠いのかな、ちょっとかわいい。だから、男だってば・・・自分で突っ込む。
キスしちゃったよ、男の子と・・・正直、気持ちよかった。思い出すとドキドキしてしまうけど、男の子か・・・ああ、なんかやばい。いやいや、やばいって何がだよ。
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