仲間1(和也)

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 和泉さんの体が5つに分かれて悠馬を狙う。  見事に悠馬にヒット。俺もどれかわからなかった。  合間をみて、和泉さんは俺と正也の様子を見に来る。 「どうだ?」 「順調です。」 「じゃあ、自発できるか。とりあえず、そのまま能力を高めてみろ。」  ふわっと正也の能力が高くなる。 「そう、その感覚を覚えて、もう一回。」  正也が頷く。 「よし、じゃあ、一回閉じて。自分で発動してみろ。」  正也は力を閉じる。  何も起こらない。 「できません。」  できない?どういうことだ。  和泉さんが悠馬を振り返る。 「悠馬。さっき言ったように頼む。」 「はい。」  悠馬が寄って来る。 「和也は正也を引っ張れ。」  俺はまた正也の能力を引き出す。俺の肩に和泉さんが触れる。 「そのまま。」  和泉さんが俺に波調を合わせながら指示を出していく。 「正也能力を高めろ。もっと、限界まで。」  正也の能力が上がる。 「悠馬、どうだ?」 「いけます。」 悠馬は眼を閉じている。 「よし。」 「いいですか。」 「やれ。」 悠馬は眼を閉じたまま正也の向けて手を伸ばす。悠馬の手が正也の胸を押す。 「う、、、」 正也が不快そうな顔をする。同時に俺にも不快感が伝わる。うわ、、、何だこれ。 「正也、和也、こらえろ。」 和泉さんの能力が俺を支える。 「、、、っつ」悠馬の顔が歪み、力が増す。 「う、、わ、、、あ」正也の顔が歪み、悠馬の手を退かそうとする。なんともいえない不快感は俺にも伝わるが俺は和泉さんに支えられる。それと同様に正也も支えているつもりだが。 「正也、ちょっと、我慢。」 悠馬がつぶやく。  悠馬は何かを引っ張りだすように、正也の胸に当てていた手を振り上げる。その手にボウっと音を立てて赤い炎が上がる。  あれは・・・あの炎。  炎が悠馬の腕に巻きついて燃え上がる。 「う、、、わ。」  悠馬が焦る。  正也はガクッと膝を付いて前に倒れこみ、床に手を付く。肩で息をしてる。
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